日本の祭りレポート
まつばらじんじゃれいたいさい
小田原はかつて日本を代表する漁港でした。よって、この祭りには漁師の心意気がプンプン。彼らにとって神輿と漁船はおなじもの。漁の作業を神輿で再現するのです。松原神社の本社神輿と龍宮神社の2基、氏子町内26基が街にくりだし、高張提灯が止まってふりむけば木遣りが唄われ、“おりゃ おりゃ”のかけ声、歓喜の顔で神輿が一気に跳び、高張提灯のすぐ前で急ブレーキ。突進してくる神輿を目前に高張提灯のふたりはビクリとも動かず、その姿は高貴。翌5日の神輿の町内巡行も200メートルほどの通りに神輿が集り「小田原担ぎ」を披露。3基、4基と合体して跳んだり、長く駆け抜けたり見せ場満載。
【取材・文:苦田秀雄】
小田原の総鎮守・松原神社は、古くから氏子・漁師たちに信仰されてきました。神輿の担ぎ上げには仕事でも唄われる浜木遣りが儀式唄として用いられ、漁場での所作を陸地で再現した、「小田原担ぎ」が見られます。これは全国でも他に例がないと言われています。かつては漁師たちによって担がれていましたが、現在は氏子によって継承され、3日間の祭りを担ぎ続けます。