日本の祭りレポート
おさいじんさい
この祭りは子孫繁栄を願うもので、クライマックスは男根を模したご神体の争奪戦。そのご神体になる松の木は祭りの朝、一山衆が雪をかき分け山から伐りだし、ほぼ1日がかりで加工。
祭りの日、平塩熊野神社の祭壇にはご神体となる大小26本の男根とたくさんのお札が並べられています。2体の十王坐像が見おろす前で男根は「入魂の儀」を経て立派なご神体に。神事が終わり、一行はご神体を抱えて行列をなし、“ほ~い、ほいほいほいほいほい”の声を発しながら神社から御塞神場に行進。そこでまた神事があり、群衆にむけてご神体を投入。300人の大争奪戦が繰り広げられます。“とおちゃん、頑張って!”の叫びが飛び交い、幼児は号泣。
【取材・文:苦田秀雄】
平塩の熊野神社に古くから伝わる小正月に行われる奇祭。松の木で男根をかたどった御神体を彫り、祈祷して魂を込めます。神事の後、御神体は近隣から集まった約300人の頭上高く撒かれ、壮絶な奪い合いが行われます。ご神体には様々なご利益があると言われ(子宝恩恵)、妻の為、家族の為にと、一体の御神体を巡り、30分以上も奪い合いが続くこともあります。