日本の祭りレポート
せっぺとべ
「せっぺとべ」とは「精一杯飛べ」のこと。日置の八幡神社の神田のなかで若者たちが肩を組んで飛び跳ねます。ポリタンク入りの焼酎をがぶ飲みし、せっぺとべの唄を唄いながら、白装束はみるみる泥まみれ。“なんの罰かよ 八幡馬場へ 八里隔てて 跳っけもどる オイヤマカチャンゲで もうけたる金は 大門口でソツ払って もうなかチャンゲ”
これは足踏み耕と田の害虫を踏みつぶして豊作を祈る呪術。歴史はおよそ420年。田んぼのそばで神輿に載った八幡神と大王殿(でおどん)がそれを見つめています。のどかな田園地帯の激しいお田植祭りです。
神社の境内や地域のあちこちでは子どもたちの虚無僧踊りや棒踊りが披露されます。お父さん方は泥酔、泥まみれ。おじいさん方はたおやかな笑顔で裏方に専心。
[取材・文:苦田秀雄]