日本の祭りレポート
かしまじんじゃれいさいとぎょさい しらかわちょうちんまつり
これは別名「儀式祭り」といわれ、武家社会の格式を現代に伝える稀少な祭り。神事、神輿の町内渡御、提灯行列、屋台や山車の引き回しなど、その所作や言葉は武士そのもの。福島県に多くみられる祭りの空気感です。
祭り初日の夜、神輿は高張提灯軍団の先導で白河鹿嶋神社を出御。それはゆらゆらゆら、あたたかく優しい灯の行列。たいこ橋の池の水面に灯りがゆらめきます。23の地区それぞれが長さ10メートルの先達竿頭提灯を先頭に、3メートルの高張提灯、神輿、しんがりが元方提灯の構成での神幸。彼らは町内を神幸したあと、順次阿武隈川に入ってゆきます。渡河による清めです。水面にゆらめく提灯の灯りが幻想的。武家社会の規律と町民の優しさの同居する「白河提灯まつり」は陸奥の秋への入り口か。
[取材・文:苦田秀雄]