日本の祭りレポート
あかまつじんじゃあきまつり ほうのうふきづつはなび
“できたん どしたん”。独特な掛け声です。それは筒のてっぺんから噴きだす滝のような火の粉を浴びて進む氏子たちのかけ声。拍子木をカッチ、カッチと打ち鳴らしながら火の粉の滝の下を回る姿はむしろ神々しくみえます。彼らが祈っているのは来年の五穀豊穣と家内安全。さらに火を噴く神輿、回転花火などそこは火の粉を浴びることで心身を清める禊場(みそぎば)。花火の製法は秘伝で、文政4年(1821)発刊の「意匠」に詳述されていますが、それを見ることが許されているのはグループのリーダーだけ。
祭りはほかにも「赤松座の三番叟」「巫女の舞」「だんじり」などがあり、もりだくさん。赤松集落には赤松川の豊かな水と気温差が育む絶品のコシヒカリ、初夏の蛍、そしてこの花火、「三つのヒカリ」があるといわれています。
【取材・文:苦田秀雄】
美波町赤松地区で約200年前から伝わる『吹筒花火』。集落ごとの13花火組が1本ずつ丹精こめて手造りする花火は、高さ約10メートルの丸太の先の吹筒から吹き出す火の粉の勢いや美しさを競います。舞い散る火の粉の下を若者が「できたん、どしたん」の掛け声とともに駆け回り、五穀豊穣と家内安全を祈願します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り