日本の祭りレポート
ふたかみさんごほうさい
真言密教と修験道が習合した、これはかなりの奇祭です。地区で尊敬され、温厚で誠実な若者が一週間精進生活をして神になり、境内で「お遊び」するもの。護法実(ごほうざね)といいます。通称「ゴーサマ」。
8月14日深夜、両山寺の境内に鶴丸太鼓が響き渡ります。人々は法螺貝の音を合図に御籠り堂の「ゴーサマ」をお迎えに。御籠り堂から「ゴーサマ」が飛び出し、境内を走り回ります。「お遊び」です。そのとき「ゴーサマ」をやじったりでもすれば命を落とすのだとか。炎に照らされて顔の赤く見える人は修行の足りない人。その人も要注意。捕えられたら霊を落としてもらって帰宅しなければ不幸なことが起こるとも。走りつかれた「ゴーサマ」は椅子に腰かけた男性の膝に座ります。すると子供らがよってきて肩や手足を揉んだり。人間味のある神様です。修験者の般若心経のなか「ゴーサマ」はお帰りになりました。
[取材・文:苦田秀雄]