日本の祭りレポート
かぬまあきまつり(かぬまいまみやじんじゃさいのやたいぎょうじ)
今宮神社に彫刻屋台がどんどん繰り込んできます。来る屋台、来る屋台、その彫りはきわめて精緻。屋台は大別して彩色ものと、白木彫りがあります。なかには江戸時代の彫師で、日光東照宮の五重塔を再建した後藤周二正秀らや、野洲冨田宿の磯辺一族が手掛けたものも。各町の屋台は手古舞の少女を先頭に神社の鳥居をくぐります。屋台の屋根には若者が腕を組んで屹立し、お囃子の太鼓は小気味よいハイテンポ。男はより男らしく、女はより女らしく、長老は威厳を正してたおやかに。境内に入ってきた屋台は順番に整列。それを1基、1基仔細に見て歩き、屋台の脇に誇らしげに立っている若者らの祭り自慢を聞くのも。夜は今宮神社前に提灯を満載した町々の屋台の「ぶっつけ」です。そこは祭りの坩堝。
【取材・文:苦田秀雄】
1608年、大かんばつのとき、鹿沼の人々が氏神に祈りをささげたことに由来します。江戸時代の鹿沼は江戸と日光を結ぶ街道の宿場町。動く陽明門とも形容される彫刻屋台を神社へ繰り込み、神社例祭を盛り上げてきました。毎年二十台を超える屋台が囃子を奉納し、神社から繰り出した後「ぶっつけ」と呼ばれる囃子の競演を行います。(国指定重要無形民俗文化財)