日本の祭りレポート
わくりみぶきょうげん
狂言とは猿楽をベースに室町時代に発生した無言笑劇であり、和久利には京都壬生寺の狂言が伝わったとされます。演目は「狐釣り」「腰祈り」「寺大黒」「愛宕詣り」「餓鬼角力」「炮烙(ほうらく)割り」「座頭の川渡り」「とろろすべり」「花盗人」があり、いずれも勧善懲悪の教えが盛り込まれたもの。その中の「狐釣り」「座頭の川渡り」は京都の壬生寺にも残っていない演目で、特に「腰祈り」は京都での上演記録さえない、和久利オリジナルのものだと考えられます。役者は地域の住民で、小学生たちが行儀よく最前列で観劇。悪いことをすれば災いは自分に降りかかってくることを教えているのです。
【取材・文:苦田秀雄】
和久里壬生狂言は、福井県小浜市和久里西方寺境内に建立された、市の塔七年供養祭として6年に一度奉納される狂言です。和久里区民が3日間にわたって面を付け演じる無言の劇は、京都壬生寺の壬生狂言が伝わったものとされています。勧善懲悪などわかりやすく、ユーモラスなパントマイムのようで、娯楽性に富んでいます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り