日本の祭りレポート
ありうじじんじゃのばんだいまつり
宮司さんを先頭に、“ドン ドン”の太鼓の音で赤飯の入った盤台を担ぎ、人々は様々なお供えものを手に神妙な面持ちで里山を進みます。ついて歩けば道端のコスモスが風に揺れ、深まってゆく秋を感じます。目指すところは有氏神社。といっても、それは道路わきの木立に囲まれた祠のような簡素なもの。銀杏の大木の木洩れ陽が境内に鮮やかな模様を描きます。
祭りのクライマックスは青年らが神社の境内で締めの手打ちをして“上げろ、下げろ”のかけ声で赤飯入りの磐台を上げ下げしてもんだ後、中の赤飯を四方八方にまき散らす場面。盤台を高く上げれば米の値段が下がるとも。赤飯を食べれば厄災からまぬがれ、安産に恵まれるということです。地元の人たちは親しみをこめてこの祭りを「アリッツアマの祭り」といいます。「アリッツアマ」とは鎌倉幕府開設に功のあった武蔵七党のひとつである児玉党の始祖の有道惟行のこと。党首への感謝がいまに残っているのです。
取材・文:苦田秀雄
盤台祭りは、武蔵七党児玉党の祖を祀るといわれている有氏神社で行われ、白鉢巻に白ふんどしの男衆の姿から「裸祭り」とも呼ばれています。神事の後、男衆が赤飯の入った盤台を持ち上げ、揉み合いながら赤飯をまき散らします。これを食べると、その年の厄払いができたり、お産が軽くすむともいわれています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り